血液・腫瘍グループ

チーフあいさつ

亀井美智

名古屋市立大学
助教

血液・腫瘍グループには、血液の悪性・良性疾患、固形腫瘍疾患を多く紹介いただいています。新生児、小児から20代の思春期・青年期（AYA世代：adolescent and young adult）を含む幅広い患者様への対応を行っています。特に悪性疾患では、各部門とのチーム医療による専門性の高い医療を実現しており、治療後のフォローアップも含め、安心して治療できる環境づくりとともに、治療後の成長と健康を守っていけるよう努力しています。治療や専門医研修、研究などご希望の方は、血液・腫瘍グループ（亀井）までご連絡ください。

臨床・教育

小児血液・腫瘍グループの診療・研究体制

小児血液・腫瘍疾患には、血液の疾患、腫瘤を形成する固形腫瘍、それぞれ悪性、良性疾患を含み、疾患は多岐にわたります。近年、CAR-T療法（遺伝子改変T細胞療法）も実施しており、小児科のみならず小児外科、整形外科、小児泌尿器科、脳外科、放射線科、薬剤師、専門看護師など各分野、連携施設のエキスパートとの集学的医療を実現しています。陽子線治療については、医学部附属西部医療センター小児科、名古屋陽子線治療センターと連携しています。また、各関連病院（日本赤十字愛知医療センター名古屋第二病院、聖隷浜松病院、豊橋市民病院など）と診療、研究の連携を行うとともに、臨床研究グループでの多施設臨床研究や、小児血液・がん専門医などの専門医の育成にも積極的に取り組んでいます。

主な疾患

血液疾患（悪性・良性）

白血病、悪性リンパ腫、ランゲルハンス細胞組織球症、再生不良性貧血、
免疫性血小板減少症、血球貪食性リンパ組織球症、赤芽球ろう、免疫不全疾患など

固形腫瘍（悪性・良性）

骨肉腫、ユーイング肉腫、神経芽腫、脳腫瘍、腎芽腫、肝芽腫、横紋筋肉腫、血管腫など

CAR-T療法（遺伝子改変T細胞療法）

急性リンパ性白血病や悪性リンパ腫の細胞表面マーカーCD19を標的とした細胞療法が確立しており、名古屋市立大学小児科で実施可能です。患者さんから採取したT細胞に遺伝子を導入して患者さんに戻します。これまでの治療では治りにくかったALLなどに対する効果が期待できます。

長期フォローアップ外来

主に小児がんの治療を受けた後の合併症や成長について、内分泌系や妊孕性、心機能、免疫系などのリスクごとにスクリーニング検査、外来看護師やメディカルソーシャルワーカーによる相談支援、移行期医療への橋渡しなど、きめ細かい対応も行っています。

臨床研究グループと臨床試験
（2023年5月現在）

日本小児がんグループ（JCCG）、日本白血病研究会（JACLS）などに所属しており、中央診断や臨床試験開発に貢献しています。また、下記の疾患の臨床試験への登録が可能です。

臨床試験

急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫、一過性骨髄異常増殖症
骨肉腫、ユーイング肉腫、神経芽腫、腎腫瘍、肝腫瘍、横紋筋肉腫、脳腫瘍

診療に関する主な施設認定

小児がん連携病院（東海北陸ブロック）
がん拠点病院
CAR-T療法認定施設
日本造血細胞移植登録施設

研究

小児血液・腫瘍をテーマに、臨床研究、モデル動物研究、創薬研究など幅広く行っています。

研究テーマ

ホジキンリンパ腫の病態解明、治療開発、予後予測因子に関する研究
小児がんに対する陽子線・放射線併用スペーサー研究
小児免疫性血小板減少症についての多施設共同研究
血友病に関連する合併症についての研究
血管腫治療に関する横断的な治療研究
化学療法中の中心静脈カテーテルの安全性、感染予防に関する臨床研究
Ⅰ型インターフェロン症に対する創薬研究（聖隷浜松病院小児科）

主な研究業績

亀井美智, 都築侑介, 岩田宏満, 木村浩明, 相羽久輝, 武田理沙, 高木大輔, 村瀬貴幸, 荻野浩幸, 佐々木良平. ラットモデルによるポリグリコール酸製吸収スペーサーの化学療法による影響の検討. 第64回日本小児血液・がん学会, 2022.11
Kamei M, Iwata H, Sato Y, Demizu Y, Fukushima H, Suzuki R, Mizumoto M, Masumoto K, Fukumoto T, Sasaki R. Safety evaluation for space-making proton therapy combined with absorbable spacer in pediatric tumor phase I trial. 第64回日本小児血液・がん学会, 2022.11
都築侑介, 亀井美智, 岩田宏満, 武田理沙, 木村浩明, 相羽久輝, 村瀬貴幸, 土屋貴裕, 樋渡昭雄. Examination of morphological and histological PGA spacer change by chemotherapy. 第35回日本放射線腫瘍学会, 2022.11
Takagi D, Morikawa Y, Kamei M, Ogino H, Iwata H, Maeda N, Akita N, Fukumoto T, Sasaki R, Kondo S. The first pediatric case of sacral Ewing sarcoma treated with space-making particle therapy. Pediatr Blood Cancer. 2021;68:e28842.
Kamei M, Koga Y, Fukano R, Oki K, Mori T, Nakazawa A, Tanaka M, Tsuchimochi T, Hori D, Fujita N, Mitui T, Mori T, Kobayashi R. Clinical trial of Hodgkin Lymphoma in Japan with case reports and next trial plan. (The Best Poster Award) 4th International Symposium on Childhood, Adolescent and Young Adult Hodgkin Lymphoma 2021.06

診療グループ紹介