サブスペシャルティへの道
肝臓グループ
東部医療センター 講師
伊藤 孝一
はじめに
小児栄養消化器肝臓学会認定医制度は、「小児の栄養、消化管、肝臓に関する深い専門的知識と生理、病態、検査手技、治療に関する高度の診療技術を有する医師を養成し、もって小児栄養・消化器・肝臓疾患患者の健康と福祉に貢献すること」を目的として発足されました。本学会認定医には「疾病の治療だけでなく、看護師、栄養士やその他のコメディカル関係者とともに、子どもとその家族に包括的医療を提供すること」が求められています。
一方、日本肝臓学会は、「肝臓病学の進歩に則して、肝臓病を専攻する優れた医師を養成し、肝臓病の医療の向上を図り、もって国民の健康と福祉に貢献すること」を目的として専門医制度を発足させています。
対象となる専門医(認定医)制度
(2023年4月現在)
A.小児栄養消化器肝臓学会認定医(日本小児栄養消化器肝臓学会)
B.肝臓専門医(日本専門医機構)
主な条件
A.小児栄養消化器肝臓学会認定医
- 医師免許を取得してから5年以上が経過した医師であること
- 専門医制度評価・認定医機構の定める基本領域の専門医であること
- 本学会の会員歴が通算3年以上であり、申請時に会員であること
- 所定の認定医申請手続きを行い、認定医委員会の審査に合格すること
B.肝臓専門医
-
基本領域(内科、小児科、外科、放射線科)の専門医資格
小児科、外科、放射線科は調整中 - 2年間の初期研修修了後、肝臓学会専門医制度による認定施設、関連施設、特別連携施設又は日本消化器病学会専門医制度による認定施設、関連施設、特別関連施設において、5年以上肝臓病学の臨床研修を修了
- 日本肝臓学会主催の教育講演会を1回以上受講
- 毎年1回行われる肝臓専門医認定試験に合格すること
資格取得への道
A.小児栄養消化器肝臓学会認定医(最短での取得期間:卒後5年)
小児栄養消化器肝臓学会の会員歴が通算3年以上あり、学会参加、卒後教育セミナーやハンズオンセミナー受講等により、規定のポイントを取得し、症例要約などの書類を準備することで受審が可能です。
B.肝臓専門医(最短での取得期間:卒後8年)
小児科専攻研修の期間に、オーバーラップして肝臓専門医の専攻研修を行うことが可能です(連動研修、あるいは並行研修と呼ばれています)。すなわち、小児科の専攻研修を進めつつ、肝臓学会に入会し専攻医登録を行ったうえで、肝臓専門医専攻研修を開始することが可能です。あくまで小児科の研修を優先して修了することが必須ですが、その中で研修カリキュラムに沿って肝臓専門医の専攻研修を行い、小児科専門医を取得した後に肝臓専門医認定試験を受験することができます。
専門医取得可能な所属施設
A.小児栄養消化器肝臓学会認定医
研修施設の指定はありません。
B.肝臓専門医
少なくとも1年は肝臓学会が認定した施設で研修すること。名市大小児科医局の関連では、下記の施設があります。
- 名古屋市⽴⼤学病院
- 名古屋市⽴⼤学医学部附属東部医療センター
- 名古屋市⽴⼤学医学部附属西部医療センター
- 岐⾩県⽴多治⾒病院
- 聖隷三⽅原病院
- 聖隷浜松病院
- ⽇本⾚⼗字社愛知医療センター名古屋第⼆病院
- ⼤同病院
- 旭ろうさい病院
- 蒲郡市民病院
- 小牧市民病院
- 豊橋市民病院
- 海南病院
- 市立四日市病院
- いなべ総合病院
その後の活躍
国内では小児栄養消化器肝臓学会学術集会、日本肝臓学会総会、国際学会ではWorld Congress of Pediatric、Gastroenterology、Hepatology and Nutritionが主な学会発表の機会になります。新しい知見・研究成果を発信しましょう。大学院への進学を考える場合、研究テーマによっては、他施設への国内留学も可能です。栄養・消化器・肝臓領域は小児診療において大変重要であるにもかかわらず専門家の少ない領域です。ともに学んで大いに活躍しましょう。