サブスペシャルティへの道
血液・腫瘍グループ
名古屋市立大学 助教
亀井 美智
名古屋市立大学医学部附属
西部医療センター
小児医療センター長
伊藤 康彦
豊橋市民病院
小児科 部長
伊藤 剛
日本赤十字社愛知医療センター
名古屋第二病院 小児科 部長
石井 睦夫
聖隷浜松病院
小児科 顧問
松林 正
はじめに
血液・腫瘍グループ
小児血液疾患や小児がんは、現在治療成績が著しく向上し克服可能な疾患となりました。多くの長期生存者が社会の第一線で活躍する時代になっているものの、小児血液疾患や小児がん治療はいまだ小児の死因の上位を占め、難治性の血液疾患では生涯にわたる治療の継続を必要なものが多くあります。小児血液・がん専門医をはじめ、関連する専門医制度が整備されており、より高度で専門的な見識と技能とともに、高い倫理観と社会性をもつ専門医の育成と医療の提供を目的としています。
対象となる専門医(認定医)制度
(2024年8月現在)
日本専門医機構
日本がん治療認定医機構
(現:小児血液・がん専門医)
日本専門医機構
(2025年度-)
日本造血・免疫細胞療法学会
主な条件
血液専門医(3月申請)
研修開始時、血液研修実績登録システムに登録、2ヶ月以内に「研修開始申請書」を届け出要
- 申請時に基本領域(小児科専門医)資格があること
- 日本血液学会に継続して3年以上会員であること
- 関連学会に5回以上参加していること
- 小児科研修終了後、専門医研修開始可能
-
認定研修施設での研修3年以上
(指定の血液疾患77例以上経験、うち必須症例数は58例) - 臨床血液学に関連した筆頭者として学会発表または論文が2件以上
がん治療認定医(12月申請)
- 基本領域(小児科専門医)資格があること
- 指定学会教育講演など5年以内20単位取得
- 初期研修後、認定施設において研修2年以上、
悪性疾患30例以上経験
- 申請までに教育セミナー(毎年10月2日間)受講後、
認定試験(同月)に合格していること - がん緩和研修など指定修了していること
- がん診療についての学会発表2件以上(共同演者可)、
論文1件以上(共著者可)
小児腫瘍専門医(3月オンライン登録、5月申請)※
※詳細は現在機構と調整中のため 、変更の可能性あり
(現:小児血液・がん専門医の条件)
- 血液専門医もしくはがん治療認定医資格があること
- 教育セミナー他100単位など
- 初期研修後5年以上小児血液・がん症例30例経験
- 専門医研修施設所属(2年)、学会発表3件(共同発表可)、
論文3件(共著可)
造血細胞移植認定医(11月申請)
- 血液専門医もしくは小児腫瘍(小児血液・がん)専門医資格があること
- 日本造血・免疫細胞療法学会所属3年以上、3回参加
- 学会教育セミナー10単位以上取得していること
- 移植認定施設研修1年以上(骨髄採取3例以上、同種移植5例以上)
- 学会発表3件(筆頭者1件含)、論文発表1件(筆頭著者など1件含)
-
血液専門医取得資格として申請の場合
卒後6年以上の臨床研修(基本領域研修、血液専門医研修)、学会発表か論文2件(筆頭) -
小児腫瘍専門医(小児血液・がん専門医)取得資格として申請の場合
卒後7年以上の臨床研修(基本領域研修、小児腫瘍(小児血液・がん)専門医研修)、学会3件(筆頭1件)、論文(筆頭1件含)
資格取得への道
最短での研修修了
専門医取得可能な所属施設
小児腫瘍専門医(小児血液・がん専門)、血液専門医、がん治療認定医ともに名古屋市立大学病院、名古屋市立大学医学部附属西部医療センターで研修可能。
造血細胞移植認定医については協力施設にて可能。
その後の活躍
小児血液腫瘍の診療・研究体制シェーマ
小児血液・がんの臨床を担う専門医として診断、化学療法、造血細胞療法、を含む治療はもとより、長期フォローアップ、ターミナルケアなどの専門的で幅広い医療の提供が期待されます。また、小児血液・がん診療に必要な集学的治療において他科との連携によるスムースな医療の実践を目指します。
専門医としての経験を蓄積し、さらに指導医としてステップアップをはかり、後進の指導と研修施設の運営を実践することが期待されます。
名市大関連施設や地域との病診連携、情報共有や新しい知見の情報発信を担うことが期待されます。
小児血液・腫瘍疾患の治療にあたる名市大小児科の主な関連施設は、関連病院の枠を超えて小児血液・腫瘍疾患の治療・研究グループであるJCCG(日本小児がん治療研究グループ)に所属しています。全国規模の協力体制を構築しており、名市大グループとしての情報発信、全国臨床試験への参加はもとより、新規治療開発のための中枢として臨床試験の計画、遺伝子解析を含めた付随研究の立案や推進、国際共同研究も担う人材として期待されます。