学生・研修医の方へ

サブスペシャルティへの道

アレルギーグループ

谷田 寿志

東部医療センター 助教

谷田 寿志

野村 孝泰

名古屋市立大学 講師

野村 孝泰

はじめに

「アレルギー」は致死率の低い疾患ですが、国民の2人に1人が何かしらのアレルギーを持っていると言われており、国民全体の疾病負担が大きい分野です。また、私たち小児科医からみると感冒や胃腸炎と同様、「Common disease」です。

小児アレルギーの分野では、「食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息」が3大疾患です。食物アレルギー診療はこの10年で食物除去の時代から早期摂取の時代へと大きく変貌しています。乳児期早期のアトピー性皮膚炎が食物アレルギーと密接に関わることが判明し、新生児期からのアトピー性皮膚炎予防や早期介入、離乳食期からの食物アレルギー予防や早期介入により、「食物アレルギーの有病率を減らす試み」が世界で行われています。

また、アレルギー性鼻炎には舌下免疫療法、気管支喘息やアトピー性皮膚炎には生物学的製剤や免疫抑制剤など次々と新薬が登場し、治療選択も大きく変化しています。これらを体系的に効率的に学ぶためには専門医取得を目指すことがおすすめです。

対象となる専門医(認定医)制度
(2023年4月現在:専門医機構と学会で構築中)

アレルギー専門医(日本専門医機構)
本稿では新制度を前提とした情報を示しますが、現在、制度構築中ですので最新情報は日本アレルギー学会HPをご参照ください。

主な条件

  • 基本領域(内科、小児科、耳鼻科、皮膚科、眼科)の専門医資格
  • 基幹施設、連携施設、特別研究施設で構成される教育研修施設群での2年間のプログラム研修を行う
    (研修開始時に登録、基本領域の専門医資格は取得見込みで可)
  • アレルギー学会への入会は必須ではないが、学会雑誌や学術大会から得られる情報が多岐に渡り、入会を推奨
    (入会者はさまざまな費用の優遇が受けられる)

資格取得への道
(最短での取得期間:卒後7年)

アレルギー専門医取得のご希望があれば、ご遠慮なく身近なアレルギー専門医、小児科医局、アレルギーグループにご相談ください!

アレルギー専門医取得のためには、小児科後期研修終了後に、2年間の専門研修が必要です。その際、教育研修施設群のいずれかの施設に2年間所属し研修を行います。

アレルギー専門医認定申請には、100例の症例経験、20例の病歴要約が必要です。100例の症例経験は、①気道、②皮膚、③眼・眼瞼、④全身アレルギー・好酸球増多疾患の4分野からそれぞれ最低10例以上が必要で、20例の病歴要約は、4分野からそれぞれ最低2例以上が必要です。その後申請を行い、専門医試験に合格し、晴れてアレルギー専門医となれます。

専門医取得後を見据えて、2年間の専門研修中から、「横のつながりを医局内外に広げること」がとても大切だと思います。アレルギーグループでは、若手からベテランの勤務医、開業医、他分野専門の先生方と2ヶ月に1度開催される「勉強会やメーリングリスト」などを通して、情報共有や日々の研鑽を行っています。顔が見えるクローズドな繋がりだからこそできる「施設を超えた小回りの効いた連携や取り組み」をしています。また、東海地区や全国の先生方ともネットワークがあります。

またグループでは、「医学、医療、教育、連携、情報発信」を5つの柱として、個人とグループの成長を加速させ、「社会に貢献すること」を目指しています。若い先生には上記の「医局内外のネットワーク」をご活用頂き、見識を大きく広げて頂きたいと考えています。例えば、研究の道に進みたい方には「大学院進学、国内留学、海外留学」があります。また、産休・育休中も自分のペースで無理なく自己研鑽を継続する取り組みも行っています。これらは仲間がいて、ネットワークがあるからこそだと思います。

先生方のキャリア形成のお手伝いをさせて頂ければと思っています。

専門医取得可能な所属施設

  • 名古屋市立大学病院
  • 名古屋市立大学医学部附属西部医療センター
  • 名古屋市立大学医学部附属東部医療センター
  • 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院
  • 聖霊病院
  • 大同病院
  • 渥美病院
  • 知多厚生病院
  • 一宮市立市民病院
  • 蒲郡市民病院
  • 小牧市民病院
  • 豊橋市民病院
  • 岐阜県立多治見病院
  • 市立四日市病院
  • 聖隷三方原病院

その後の活躍

専門医取得はアレルギーを専門とする上で「第一歩・通過点」と考えています。そして専門医取得後も、上記の「5つの柱が大切な羅針盤」となると思います。

医療には、軽症から重症例の診療が含まれ、医療の進歩は日進月歩ですので「生涯学び続ける姿勢」が重要です。

医学には「基礎研究・臨床研究」が、教育には「専門医育成・医療スタッフ育成」が、連携には「医療機関・研究機関・行政・企業・家族会など」が、情報発信には「論文・学会発表、ガイドライン作成協力、講演・メディアなど」が含まれ、「熱意や興味が湧く道を自らの意志で進んで頂くこと」が大切だと考えています。

ぜひ、アレルギー専門医取得後を見据えながら「社会に大きく羽ばたいて」頂きたいと思っています。そして、研修期間中から、私たちと一緒に成長していきましょう!

参考ホームページ

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