診療グループ紹介

新生児グループ

チーフあいさつ

チーフ

岩田 欧介

名古屋市立大学
准教授

初代小川次郎教授は日本における新生児医療の父として知られ、ここ名古屋市立大学において黎明期の新生児医療の礎を築きました。新生児医療は名古屋市立大学小児科の伝統として更なる発展を遂げ、今日も日本と世界をリードする臨床・教育・研究体制が引き継がれています。新生児グループには、大学病院のみならず、関連病院のNICUで活躍する多くの新生児科医が所属しています。我々のモットーは、全員で診て全員で考えるチーム医療、そして日々の絶え間ない仮説思考からクリニカルクエスチョンを科学的に紐解いていくことです。

臨床・教育

名古屋市立大学病院NICUは現在、NICU12床、GCU15床の合計27床で運用しています。産婦人科部門の看板である臨床遺伝医療部や不妊・不育症外来と関連して、超早産児だけでなく、先天的な多臓器不全に対し、長期間集中管理を必要とするハイリスク症例が多くを占めるのが特徴です。また、アクティビティの高い小児循環器・小児心血管外科チームとの共闘で、先天性心疾患のクリティカルケアを多く経験できることも大きなアドバンテージです。小児の外科・泌尿器科・眼科・脳神経外科チームのサポートを受けて、新生児の外科疾患にも高いレベルで対応することができる、県内でも数少ない施設です。さらに2025年には、「救急・災害医療センター（仮称）」に新たなNICUが開棟する予定です。これからも地域周産期医療の中核として高度・先進医療を提供していきます。

NICUに入院する重症児のケアにはチーム一丸となっての素早い情報収集と決断・行動が求められます。私たちは365日、1日に何度も、チームによる情報の共有と、想定外をなくす熱い議論を繰り返しています。さらに医師・看護師のみならず、家族にもチームの一員として参加して頂くことを大切にしています。このことにより早期から退院にむけての展望が共有され、一日も早い在宅移行が可能になります。また、私たち医療者も一人の親であり、人間です。プライベートも大事に心身ともに健康に過ごすことが必要と考えています。常に全力で診療にあたるため、お子さんをお預かりするという重大な責任を果たすためにも常にリフレッシュした状態で診療にあたることを心掛けています。

研究

現在の臨床エビデンスは不完全であり、誰しも不足分を経験的仮説で補っています。新生児グループでは、日々この臨床仮説を科学的に分析し、新たなエビデンスの創出を目指しています。それぞれのスタッフが自分の研究テーマを持っており、多様性と受容性に富んだ研究チームが形成されています。近年では、名古屋市と産業経済界とタッグを組み、全てのこどもが安心感を持って育つことのできる未来都市を共創するための超大型プロジェクトを立ち上げています。

研究テーマ

  • すこやかピアサポートが埋め込まれた社会の実現（共創の場形成支援プログラム　近未来こども環境デザイン拠点）
  • 早産児の出生早期からの言語聴覚刺激や視覚刺激が発達予後にもたらす効果
  • 新生児の痛みや慢性ストレスの科学的定量
  • 新生児低酸素性虚血性脳症の大規模前方視的レジストリ研究（Baby Cooling Japan）
  • 新生児脳傷害の病態解明と再生促進技術の開発
  • ビッグデータに基づいた胎便吸引症候群の発症因子の検討
  • 新生児胆汁うっ滞性疾患の網羅的遺伝子解析による稀少難病の早期診断と病態解析
  • NICU災害トリアージ法の確立
  • 慢性肺疾患モデル動物を用いた肺胞形成メカニズムの解明と新規治療法の開発
  • 日本版新生児慢性肺疾患診断基準の改訂
  • など多数

主な研究業績

  1. Tsuda K, Shibasaki J, Takeuchi A, Mukai T, Sugiyama Y, Isayama T, Ioroi T, Takahashi A, Yutaka N, Iwata O; Baby Cooling Registry of Japan. Prolonged requirements for mechanical ventilation and tube feeding support predicted 18-month outcomes for neonatal encephalopathy. Acta Paediatr. 2023
  2. Nakamura Y, Iwata S, Yokoi K, Mizutani Y, Yoshikane M, Kawase K, Kato T, Kobayashi S, Goto H, Saitoh S, Iwata O. Influence of intrauterine inflammation, delivery, and postnatal feeding on the temporal changes of serum alpha 1 acid glycoprotein levels in extremely-low-birth-weight infants. Nutrients. 2022;14:5162.
  3. Iwata S, Katayama R, Tsuda K, Lin YC, Kurata T, Kinoshita M, Kawase K, Kato T, Kato S, Hisano T, Oda M, Ohmae E, Takashima S, Araki Y, Saitoh S, Iwata O. Near-infrared light scattering and water diffusion in newborn brains. Ann Clin Transl Neurol. 2022;9:1417-27.
  4. Kato S, Iwata O, Iwata S, Yamada T, Tsuda K, Tanaka T, Saitoh S. Admission temperature of very low birth weight infants and outcomes at three years old. Sci Rep. 2022;12:11912.
  5. Jinnou H, Sawada M, Kawase K, Kaneko N, Herranz-Pérez V, Miyamoto T, Kawaue T, Miyata T, Tabata Y, Akaike T, García-Verdugo JM, Ajioka I, Saitoh S, Sawamoto K. Radial glial fibers promote neuronal migration and functional recovery after neonatal brain injury. Cell Stem Cell. 2018;22:128-37.e9.

ページトップへ戻る