診療グループ紹介

遺伝グループ

チーフあいさつ

齋藤 伸治

名古屋市立大学
教授

遺伝子・ゲノム解析の革新的な発展により、遺伝学は大きく変貌しました。次世代シーケンサーの登場により、ゲノム情報の解読は誰でも実施可能な技術となりました。先天性疾患を対象とする小児科においては、遺伝子・ゲノム解析は基盤的な検査となっています。更に、発達障害や低身長などのコモンディジーズのような多因子遺伝が関連する疾患も遺伝子・ゲノム解析の対象となってきています。遺伝学はすべての小児科医にとって学ばなければならないものとなりました。名古屋市立大学小児科では、診療グループを横断する形で遺伝グループを形成し、日進月歩の遺伝学を小児科臨床に生かすと同時に、研究成果を世界に発信しています。

臨床・教育

名古屋市立大学病院臨床遺伝医療部と連携して、遺伝カウンセリングを実施しています。また、名古屋市立大学病院は未診断疾患イニシアチブ(IRUD)拠点病院です。小児科はその中心として、未診断疾患に対するエキソーム解析を多くの関連病院と連携して取り組んでいます。更に、新生児集中治療室における精緻・迅速な遺伝子診断(Priority-i)の研究分担施設として、NICUにおける危急的新生児に対する迅速なエキソーム解析を行なっています。

毎週火曜日の17:00からオンラインを併用したハイブリッド形式で臨床遺伝カンファレンスを実施し、関連病院を含めた施設で実施されたマイクロアレイ染色体検査や遺伝子検査、エキソーム・ゲノム解析の結果を議論し、診断支援を行なっています。

名古屋市立大学小児科ではこのようにあらゆる遺伝学的解析が実施できます。これらの診療や解析を通して、臨床遺伝専門医の育成を行なっています。

主な疾患

染色体異常・染色体微細コピー数異常

マイクロアレイ染色体検査の結果解析を支援します。マイクロアレイ染色体検査は原因不明の発達遅滞、外表異常などの遺伝学的解析の第一選択です。一般的な染色体異常の診断と管理の支援も行います。

既知の遺伝性疾患

遺伝子解析の実施と結果解析の支援を行います。遺伝カウンセリングおよび疾患の管理についても支援いたします。

未診断疾患

通常の解析でも未診断疾患については、IRUDを含めて網羅的遺伝学的解析、エピゲノム解析、マルチオミクス解析などを駆使して、診断支援を行います。

遺伝カウンセリング

出生前診断を含めたあらゆる遺伝カウンセリングに対応いたします。

研究

エキソーム解析、ゲノム解析、ロングリードシーケンシング、エピゲノム解析、トランスクリプトーム解析、マルチオミクス解析を駆使して、未診断疾患の原因の同定を行なっています。更に、遺伝子改変マウスの作成、iPS細胞から組織オルガノイドの作成などの最先端技術を用いて、同定された遺伝子バリアントの機能解析を実施しています。更に、GeneMatcherなどのデータシェアリングを通じて世界の研究者と共同して研究を展開しています。

このような基礎的研究に加えて、稀な遺伝性疾患の全国疫学調査やレジストリーの作成を行い、自然歴解析を行なっています。これらの成果を基に、小児慢性疾患や指定難病への指定を目指し、患者家族への成果の還元を行います。更に、臨床研究や治験に積極的に参加することで、新しい治療法の開発に様々なレベルで参画いたします。

主な研究業績

  1. Otsuji S, Nishio Y, Tsujita M, Rio M, Huber C, Antón-Plágaro C, Mizuno S, Kawano Y, Miyatake S, Simon M, van Binsbergen E, van Jaarsveld RH, Matsumoto N, Cormier-Daire V, J Cullen P, Saitoh S, Kato K. Clinical diversity and molecular mechanism of VPS35L-associated Ritscher-Schinzel syndrome. J Med Genet. 2023;60:359-367.
  2. Fujimoto M, Nakamura Y, Iwaki T, Sato E, Ieda D, Hattori A, Shiraki A, Mizuno S, Saitoh S. Angelman syndrome with mosaic paternal uniparental disomy suggestive of mitotic nondisjunction. J Hum Genet. 2023;68:87-90.
  3. Healy MD, McNally KE, Butkovic R, Chilton M, Kato K, Sacharz J, McConville C, Moody ERR, Shaw S, Planelles-Herrero VJ, Kadapalakere SY, Ross J, Borucu U, Palmer CS, Chen KE, Croll TI, Hall RJ, Caruana NJ, Ghai R, Nguyen THD, Heesom KJ, Saitoh S, Berger I, Berger-Schaffitzel C, Williams TA, Stroud DA, Derivery E, Collins BM, Cullen PJ. Structure of the Commander endosomal trafficking complex linked to X-linked intellectual disability/Ritscher-Schinzel syndrome. Cell. 2023 (in press)
  4. Saitoh S. Endosomal recycling defects and neurodevelopmental disorders. Cells. 2022;11:148.
  5. Negishi Y, Kurosawa K, Takano K, Matsubara K, Nishiyama T, Saitoh S. A nationwide survey of Schaaf-Yang syndrome in Japan. J Hum Genet. 2022;67:735-738.

ページトップへ戻る