教室案内

教授あいさつ

名古屋市立大学大学院 医学研究科 新生児・小児医学分野 教授 齋藤 伸治

教授 齋藤 伸治

伝統に立脚し、未来の小児医療に貢献する

名古屋市立大学小児科は名古屋市を中心として、東海地区における小児医療の中核としての役割を果たしています。初代教授の小川次郎先生は日本における新生児医療の父として知られ、ここ名古屋市立大学において黎明期の新生児医療の礎を築きました。新生児医療は名古屋市立大学小児科の伝統として、今日でも力強く引き継がれています。そのため、関連病院の多くは新生児医療が強く、地域の中核のNICUを有しています。新生児を含めた小児医療をバランスよく学ぶことのできる環境が私たちの自慢です。

新生児以外にも神経・筋、遺伝、内分泌、循環器、血液・腫瘍、肝臓、アレルギーや心理発達疾患に対して専門性の高い医療を担っています。しかし、それぞれの専門性を超えて、小児の総合医として新生児から小児の医療を協力して行うことが、名古屋市立大学小児科の伝統です。ですから、名古屋市立大学小児科で学んだ仲間は、どこででも優れた臨床医として貢献することができるのです。

2021年4月から西部医療センターと東部医療センター、2023年4月からはみどり市民病院とみらい光生病院が名古屋市立大学医学部附属病院となり、5病院が連携することになりました。西部医療センターは新生児医療、名古屋市唯一の陽子線治療施設を擁する小児がん治療を担っています。また、東部医療センターは救急医療を中心とする急性期医療に加えて、高次ウイルス感染症センターを設置し、名古屋市における新型コロナウイルス感染症対策の中心としての役割を果たしています。さらに、小児腎疾患、感染免疫や小児救急医療などを高いレベルで実施しているあいち小児保健医療総合センターと強く連携しています。そして、愛知県を中心として多くの関連病院を有し、プライマリーケアから高度最先端医療まで幅広い小児医療を実践しています。

日進月歩の小児医療のレベルを維持するには、伝統だけでは十分でありません。優れた研究と教育のシステムが必要です。私たちは世界中の様々な研究者と共同研究を行い、世界に向けて発信を行っています。伝統に立脚し、未来の小児医療に貢献するために、名古屋市立大学小児科は前進を続けます。

教室の歴史

名古屋市立大学小児科学教室は既に70年以上の歴史をもつ。その歴史について主宰した教授の各時代にそって紹介する。

昭和26年(1951年)に小川次郎初代教授が着任されたことが、名古屋市立大学小児科学教室の始まりである。戦後の荒廃期における種々の感染症、乳幼児の栄養障害は改善の兆しが見えるなか、これに代わる小児医療の問題として新生児医療に注目し、教室の中心的な課題とした。湯たんぽの交換で温度調整を行う保育器の作成に始まり、経鼻胃管を用いた栄養法、酸素療法、高ビリルビン血症に対する交換輸血や光線療法の基礎的、臨床的研究への貢献が、現在に至る新生児医療を中心とした当教室の礎となっている。小川教授の「赤ちゃんがなにかを訴えている」という言葉は多くの教室員の心を捉え、いまなお名古屋市立大学小児科における小児科医としての原点となっている。

小川次郎初代教授(中央)

小川次郎初代教授(中央)

簡易保育器

簡易保育器

新生児医療を中心に発展した当教室を、昭和52年(1977年)に和田義郎第2代教授が受け継いだ。理論的な病態解析により、世界で初めてのジヒドロピリミジナーゼ欠損症およびオロット酸尿症の原因解明など、先天代謝異常の領域で多くの成果をもたらした。また、新生児頭部近赤外分光測定法の開発、B型およびC型肝炎ウイルスの母子感染の証明、低カルシウム性ミオパチーの実験的病態証明、川崎病の動脈瘤発症リスクスコアの開発、東海臍帯血バンクの設立、わが国初の乳幼児突然死症候群(SIDS)専門外来の設置およびハイリスク時の呼吸解析法の確立など、当教室でも多様化する小児の専門領域に広く新たなエネルギーを注入した。「教室の若い力を伸ばすために仕事の場を提供する」という理念は、現在でも当教室の人材育成の根幹となっている。

平成13年(2001年)に新生児医療を専門とする戸苅創第3代教授が就任し、当教室で育まれ脈々と受け継がれた新生児医療は成熟の時を迎えることとなる。日本未熟児新生児学会理事長、日本SIDS・乳幼児突然死予防学会理事長、新生児NO吸入療法研究会代表、EPOC研究会(脳性麻痺予防プロジェクト)代表、新生児呼吸療法モニタリングフォーラムCEO、として長年に渡り日本の新生児医療を牽引し、乳幼児突然死症候群(SIDS)に関する研究班(厚生労働省)では研究代表者を努めた。医学研究のみならず社会における新生児医療の地位の向上にも貢献することで、本邦の小児医療における当教室の位置づけを確立している。

平成23年(2011年)に齋藤伸治第4代教授が着任し、約400名の医局員を数える当教室を現在に至るまで牽引している。

歴代教授

  • 初代教授

    小川 次郎

    Jiro OGAWA

    1936年
    京都帝国大学医学部卒業
    1951年
    名古屋市立大学医学部講師
    1951年
    名古屋市立大学医学部助教授
    1952年
    名古屋市立大学小児科学教室教授
    1976年
    名古屋市立大学名誉教授
  • 2代目教授

    和田 義郎

    Yoshiro WADA

    1961年
    東北大学医学部卒業
    1977年
    名古屋市立大学小児科学教室教授
    1995年
    名古屋市立大学病院病院長
    1997年
    名古屋市立大学医学部長・医学研究科長
    2000年
    名古屋市立大学学長
  • 3代目教授

    戸苅 創

    Hajime TOGARI

    1970年
    名古屋市立大学医学部卒業
    2001年
    名古屋市立大学小児科学教室教授
    2007年
    名古屋市立大学病院病院長
    2010年
    名古屋市立大学理事長・学長
  • 4代目教授

    齋藤伸治

    Shinji SAITOH

    1985年
    北海道大学医学部卒業
    2011年
    名古屋市立大学小児科学教室教授

ページトップへ戻る