筋ジストロフィー患者さんの災害対策

【ごあいさつ】

名古屋市立大学病院小児科の服部文子と申します。小児科の中で神経と筋疾患を専門としています。日頃の診療の中、東日本大震災直後に「災害対策ってどうすればよいですか?」「災害時に病院は助けてくれますか?」という不安を口にされている患者さんがいらっしゃいました。小児科外来看護師と外来患者さんの災害時対策に関して活動していた矢先、精神・神経医療研究開発費「筋ジストロフィーのエビデンス創出を目的とした臨床研究と体制整備班」の仕事として、筋ジストロフィー患者さんの災害対策について調査する機会を得ました。世の中にはすでに災害対策の立派なパンフレットはいろいろ存在しています。パンフレットを作るのであればニーズに合ったものを作成したいところです。そこで日本筋ジストロフィー協会にご協力いただき、2014~2015年に全国アンケート調査をおこない800名を超える回答をいただきました。

計画停電のあった地区は準備をしている人が比較的多かった一方で、「何を準備すればよいのかわからない」「準備する機会がない」という声が多くありました。被災された方からは、役に立ったものや困った事例を教えていただけました。アンケート調査結果を受け、災害対策パンフレットを作成しました。コンパクトにして、なおかつ要点をおさえたパンフレット作りに努めました。その結果、チェックリストに説明書を添付する形式のパンフレットができあがりました。今年3月から、名古屋市立大学新生児・小児医学分野教室ホームページ(http://ncu-ped.com/)からダウンロードできるよう準備しています。皆様にも一度見ていただき使っていただけると幸いです。

2017年3月吉日

 

【使い方】

1) 両面印刷する。

設定:用紙サイズA4、短辺を閉じる

2) チェックリストは三つ折、手引きは二つ折りにする。

災害時チェックリスト(PDF)

手引きQ&A20161222(PDF)

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神経グループが対応する主な疾患

てんかん

てんかんは、突然の大脳の神経細胞の過剰な興奮による症状を繰り返す病気です。てんかん発作には、全身を硬くして震わせるものから、意識だけがボーッとするもの、眼球偏位のみがみられるもの、瞬間的に体をピクンとさせるものなど、多様な症状があります。日本におよそ100万人の患者さんがいると言われています。なかでも点頭てんかんは、乳児期特有に認められる特殊なタイプのてんかんで、発達に悪影響を与えるため、特に診断と治療が重要とされる疾患です。

てんかん発作の型によって治療薬が変わってくるため、発作の型をしっかりと診断することが重要です。発作症状を中心に脳波所見を参考にして診断をおこない、抗てんかん剤と呼ばれる薬を使用します。てんかんと診断がついても必ずしも投薬を必要としないケースもあります。また新しい抗てんかん剤が承認され、難治性てんかんにおいてもてんかん治療の選択肢が増えています。どんな抗てんかん剤でも必ず副作用の可能性がありますが、長期にわたり内服が必要なことが多く、より安全に治療を続けることが重要です。

片頭痛

片側の頭部が心臓の拍動に一致してドクンドクンと痛む頭痛が長時間続き、日常動作によって痛みがさらに強くなり、悪心や嘔吐を伴ったり、光が眩しく感じたり、音がうるさく感じたりする。頭痛に先立って物が見にくい、まぶしい感じがするといった前兆を伴うことがある。このような頭痛が典型的な片頭痛の特徴です。しかし小児の場合は、すべての症状が揃わないこともあって、診断がつかないまま苦しんでいる子が少なくありません。
当院では、頭痛の診断を行い、必要に応じて検査、治療を行っています。

小児頭痛外来を行っている施設はまだ全国的に極めて少ないのが現状です。当院では2003年より小児頭痛外来を開設し、診断・治療をおこなっています。特に片頭痛については、トリプタン系薬剤と呼ばれる片頭痛特異的な治療薬が発売されて以降、患者さんのQOLがかなり改善しました。小児の場合は、通常の鎮痛剤を早めに使用することで、痛みが緩和することが多いですが、通常の鎮痛剤が無効で、小学校高学年以上であれば、当院でもトリプタン系薬剤を使用しています。

その他

急性脳炎・脳症、筋ジストロフィーなどの筋疾患、ギラン・バレー症候群や遺伝性運動感覚性ニューロパチーなどの末梢神経疾患、様々なタイプの先天性脳形成不全、ミトコンドリア異常症や代謝性疾患を、他の専門医師と連携を取りながら診療にあたっています。

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