診療グループ紹介

アレルギーグループ

チーフあいさつ

チーフ

野村 孝泰

名古屋市立大学
講師

アレルギー疾患は、専門性を問わず多くの小児科医が対応すべき疾患です。我々は診療所における一般診療のアレルギー対応から研究機関としての大学といった様々なレベルで、多様性を持った多くの仲間とともに、この領域の臨床・研究・教育を支えていきます。

2023年からは、野村孝泰(名古屋市立大学)、神岡直美(名古屋市立大学医学部附属西部医療センター)、谷田寿志(名古屋市立大学医学部附属東部医療センター)が、三附属病院に揃う形で小児アレルギー分野の責任者として配置されています。地域の診療拠点としてリーダーシップを発揮するとともに、専門医の育成、臨床研究、基礎研究、地域貢献などにも広く携わっていきます。また、診療所から地域中核病院の医師、非専門医と専門医、看護師・薬剤師・栄養士などのコメディカル、など様々な立場との連携も進めていきます。

臨床・教育

小児アレルギー領域では、歴史的に気管支喘息が対象疾患の中心となり、診療ガイドラインの普及とともに診療レベルの向上が図られてきました。また、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーに対しても診療ガイドラインを中心とした対応が求められますが、看護師や薬剤師と協力した外用剤の適切な使用方法の指導、栄養士と連携した食事指導、園や学校での食物アレルギー対応など、より社会的な取り組みが求められます。さらに最近では、これらのアレルギー疾患に対して重症例を中心に分子標的治療(抗IgE抗体、抗IL-5抗体、JAK阻害薬など)が行われるようになってきています。我々は、急激な時代の変化に取り残されず、患者さんに適切な医療を提供するため、仲間とともに取り組んでいきます。

主な疾患

気管支喘息

最新の治療ガイドラインをもとに治療を行います。環境整備や患者様と家庭の特性に合わせた治療を丁寧に行う一方で、最近では難治症例に対する分子標的治療にも取り組んでいます。

アトピー性皮膚炎

薬物治療ではステロイド外用剤が中心になりますが、皮疹の見極めや必要性に応じた十分量のステロイド外用剤の塗布が重要です。治療経過を予測し家族と共有することが、治療の成否を左右します。難治症例に対する分子標的治療も注目されています。

食物アレルギー

正確な診断を行うととともに、適切な食事指導、症状出現時の対応を共有します。食物アレルギーの状況により、原因食物の完全除去が必要となることがある一方で、症状の出現しない程度の食事を促すことで、食物アレルギーの自然経過、患者さんの生活の質の改善することがあります。いまだ、学術的な議論が活発な領域です。

アレルギー性鼻炎

抗アレルギー剤の内服・点眼、点鼻ステロイドなどで対症療法が行われてきましたが、最近では舌下免疫療法を中心とした免疫療法で、根治的な治療に取り組んでいます。

研究

多くはありませんが、臨床研究にも取り組んでいます。我々の研究は、多くの関連病院や診療所と連携して症例を集積できることが特徴的です。幅広い施設での症例集積が進むとともに、仲間と一緒に取り組む経験が、個人や組織の成長をより強固なものにします。2012年から2017年にかけて、複数の関連施設で共通プロトコルを用いた経口負荷試験に取り組み、抗原特異的IgE値と経口負荷試験における誘発症状について、誘発症状の重症度との関係を報告しました。最近では2017年から2021年にダニ舌下免疫療法を行う際のリスク因子としての喘息合併について解析を行っています。

また、動物モデルを用いた食物アレルギーの病態解明にも取り組んでいます。その研究が目の前の患者さんに役に立つのか、ということを問われがちですが、純粋な科学的探究心から行われる研究は短期的な視点とは別の角度から重要な取り組みと考えています。すでに役に立つ見通しがある研究は社会の連続的な発展を促しますが、役に立つかわからない研究には非連続的な社会の変化の可能性を含んでいます。人間にとって本質的で活力をもたらす取り組みなのではないでしょうか。

我々は、それぞれがもつ特性を刺激して活性化させることで、個人に合った国内外での臨床研究、基礎研究の取り組みを支援します。

主な研究業績

  1. Tanida H, Nomura T, Kondo Y, Hirabayashi Y, Wakatsuki J, Saitoh S. House dust mite SLIT-tablet is well tolerated in pediatric patients with controlled asthma. Asian Pac J Allergy Immunol 2021. (Online ahead of print)
  2. Kamioka N, NomuraT, Kato T, Yoneyama M, Sobajima T, Tanida H, Morishita T, Sugiura S, Suda Y, Hirabayashi Y, Misawa C, Tanaka H, Mizuno M, Terada A, Kanda Y, Saitoh S. Probability curves for predicting symptom severity during an oral food challenge with wheat. Allergol Int 2017;66:627–8.
  3. Nomura T, Suzuki Y, Yokota M, Nakamura Y, Ozeki K, Ito Y, Tsuge I, Saitoh S. Effect of Japanese cedar-specific sublingual immunotherapy on allergen-specific TH2 cell counts in blood. Ann Allergy Asthma Immunol 2016;117:72-8.
  4. 野村孝泰,神田康司,加藤泰輔,側島健宏,森下雄大,杉浦至郎,須田裕一郎,近藤慕子,神岡直美,田中秀典,水野美穂子,寺田明彦.共通プロトコルを用いた食物経口負荷試験ネットワークの構築.日本小児アレルギー学会誌 2015;29:260-9.
  5. Nomura T, Kanda Y, Kato T, Sobajima T, Morishita T, Sugiura S, Suda Y, Wakatsuki J, Nakano M, Kamioka N, Terada A, Saitoh S. Probability curves focusing on symptom severity during an oral food challenge. Ann Allergy Asthma Immunol 2014;112:556–7.e2.

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