循環器(小児循環器専門医)

名古屋市立大学大学院医学研究科 新生児・小児医学 助教 篠原務
名古屋市立大学大学院医学研究科 新生児・小児医学 助教 鈴木一孝

1  はじめに
 欧米では、小児循環器分野は最も人気の高い専門領域の一つであり、特に女性医師が多いことがその特徴です。これが本来あるべき姿であり、小児循環器医療は最もやりがいを感じる医療の一つであることを物語っています。また学問としての魅力、例えば胚の時期に体の左右軸が決まることで動き出す神秘的な心臓血管の発生や、生理学と物理学が交錯する血行動態など、その多様性に富んだ科学が多くの医師たちを魅了しているのでしょう。残念ながら日本では、これまでの働き方を含めた社会的問題から、小児循環器学に興味を持ちながらその道を諦めた医師は計り知れません。
 日本は新たに年号を「令和」に変えました。ここから先は、過去と同じことをしてはいけません。新しい日本の社会を創造せよ、と訴えかけられているのです。幸い、日本小児循環器学会はその専門医の条件に多様性を含ませ、門を狭めていません。手技が全てではなく、少しくらい下手くそだって良いのです。患者に真摯に向き合い、予防医学や安全な医療を提供できる医師を育てようとしているのです。私たちは、この新しい時代とともに新たな循環器専門医を育て、持続可能でやりがいを感じられる循環器チームを築いていこうとしています。

2  対象となる専門医(認定医)制度(2022年5月現在)
・小児循環器専門医(日本小児循環器学会)

3  主な条件
・小児科専門医であること
・5年以上継続して小児循環器学会会員であること
・卒後8年以上の研修および修練期間を有し、学会が認定する修練施設で5年間の小児循環器修練を修了していること

4  資格取得への道(最短での取得期間:卒後8年)
 小児循環器領域に興味があれば、まずは日本小児循環器学会会員に加入しておくと近道です。小児科専門医取得後は、日本小児循環器学会が認定する修練施設での研修を行うことで効率的に専門医資格を取得できます。(実際にどこで修練を行うかを決断するのは容易ではないため、本稿最後の「※名市大小児循環器相談室」をご利用ください。)
 修練期間の5年間の中では、以下の経験を積む必要があります。入院患者の受け持ちの経験、心臓カテーテル検査の実施、運動負荷検査の実施、ホルター心電図読影、心エコー検査の実施、学校心臓検診への参加、日本小児循環器学会認定の学会への参加や発表、小児循環器に関係する筆頭著者としての論文が必要です。これらの条件を満たすことは難しいことではなく、我々循環器グループがチームとしてサポートを致します。

5  専門医取得可能な所属施設 (愛知県で日本小児循環器学会が認定する修練施設)
・名古屋市立大学病院(代表:鈴木一孝)
・あいち小児保健医療総合センター(代表:安田和志)
・日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院(代表:犬飼幸子)
・その他:岡崎市民病院、名城病院、藤田医科大学病院、中京病院、名古屋大学病院、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院

6  その後の活躍
 循環器学に関わる学会・研究会は日本だけでも実に20種類以上もあり、その学問の多様性が伺えます。小児循環器医としてどんな医師像を目指すのか、その理想像は十人十色であってよく、人と違えば違うほど貴重な存在となります。心エコーやカテーテル治療を得意とする者、不整脈治療を得意とするもの、胎児診断を得意とするもの、成人先天性心疾患の専門医を目指すもの、肺循環に興味を抱くもの、心筋症や心移植に興味を抱くもの、発生学にのめりこむもの、血流を熱く語るもの。そのすべてが貴重で、優劣はありません。小児循環器医として長く続けていくための秘訣は、知的好奇心を満たしてくれる好きな分野を見つけることだと思っています。
 われわれ循環器グループでは関連病院の垣根を越えて、国内有数の小児循環器施設である静岡県立こども病院、福岡市立こども病院、長野県立こども病院、国立循環器病研究センター、中京病院などで研修を行うモデルケースが増えています。重要なことは、そこで何を学んでこれるかということです。その期間に一般知識を学ぶのではなく、自分の得意な専門領域を見いだすことができることを望んでおります。
 一方で、医師には科学者としての側面も不可欠です。臨床から浮かび上がる疑問を臨床研究や基礎研究へ応用し、循環器学を深く学び、新たな知見を見出すことは、未来の患者を救う手助けとなるだけでなく、臨床をこれまでとは違った視点で見えるようになり幅が広がります。大学病院では大学院への入学をすすめ、学位取得をサポートしています。私たち循環器グループは、若い世代の新しい挑戦を応援し、全力でサポート致します。

7  参考ホームページ
・日本小児循環器学会(https://jspccs.jp

※名市大小児循環器相談室
・鈴木一孝(大学循環器グループの長)suzuki.kアットmed.nagoya-cu.ac.jp(アットは@)
・中垣麻里(育児と循環器臨床の二刀流)aimaripd_1224アットyahoo.co.jp(アットは@)
・篠原務(海外留学経験あり)shino30アットmed.nagoya-cu.ac.jp(アットは@)

[記事公開日]2022/06/11
[最終更新日]2022/06/20